事案の概要
電気設備業を営んでいるA社は、創業者であるB氏とその一族が多くの株式を保有していましたが、B氏が高齢となったこと、B氏の親族には後継者がいなかったことから、長年、B氏とともに経営を行ってきたC氏が実質的に経営を行っていました。
B氏には、取締役に就任していた妻D氏以外に、多数の相続人がいたため、仮にB氏の相続が発生すると、相続人間での紛争が予想されていました。
B氏は将来の紛争を危惧しておりましたが、長年放置されたままであったところ、B氏の大病が発覚したため、速やかに、株式の処理と、C氏への事業承継を行う必要がありました。
当事務所の関わり
受任後、ただちにA社の役員と面談、さらに、定款や株主名簿等の資料を精査し、スムーズな事業承継のために必要な事項を整理しました。
本件では、B氏も妻D氏も取締役であったため、取締役退任に伴う退職慰労金について、税理士とも連携し、その範囲を算出しました。
また、株式の譲渡に備え、適正な株式評価額についても算出しておきました。
A社や、事業承継を受けるC氏において、本件事業承継に伴う費用の支出には限りがありましたが、B氏及び妻D氏への退職慰労金と、株式買取金額について、具体的な提案を行い、B氏及び親族から了解を得ました。
当事務所において、役員の退任及び退職慰労金の支出に関する株主総会等の法的手続や、株式の譲渡に関する書類(株主総会における株式譲渡承認手続等)をすべて作成し、滞りなく、事業承継を行いました。
特に、株主には、B氏の親族が含まれていたため、それらの親族とも交渉を行い、速やかな株式譲渡が可能となりました。
事業承継による決着
上記の手続後、B氏が亡くなりました。
B氏の意識がしっかりしていた間に全ての手続が終了していたため、後の相続トラブルを防ぎ、B氏や相続人の方々にとっても、何ら問題のないかたちで処理ができました。
また、他の相続人にとっても、相続財産に、非上場株式が含まれなかったため、その評価について争いが生じることもなく、法定相続分を基礎に遺産分割協議を行うことができました。
経営者にとって、自分が亡くなった後のことを考えることは難しい面もありますが、後に大きなトラブルに発展した可能性もあったことを考えると、速やかな処理ができたことは、非常にメリットがあったと思われます。