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派遣社員が派遣先でパワーハラスメントに遭ったとして、派遣先だけでなく派遣元に対しても責任を追及されたが、派遣元の不法行為責任が認められなかったケース

事案の概要

主にエンジニアの派遣業を営むA社は、エンジニアであるXをB社に派遣していたところ、Xは、B社社員よりパワーハラスメントを受けてうつ病を発症したとして、労基署に対して、労災保険の休業補償給付を請求し、労基監督署長より支給決定を受けました。

同決定をうけて、A社は、Xより、A社が安全配慮義務に違反したこと並びにXに対して違法な退職勧奨をしたこと及び証明協力義務違反があったことを理由に、損害賠償請求がなされました。

当事務所の関わり

受任後、ただちに、A社においてXの担当者をはじめとするXに関与したことのある社員らから事実関係や当時の状況をヒアリングし、Xの過去から現在(当時)に至るまでの勤怠状況やA社のXに対する対応などを整理しました。

その上で、裁判においては、当時、A社が派遣元の企業としてXに対しすべき対応は行っていたことを具体的に挙げた上で、A社は安全配慮義務を尽くしたことを主張しました。

また、退職勧奨についても、A社社員が退職勧奨ではなくあくまで就業規則に基づく一般的な取扱いを説明したことを主張しました。

証明協力義務違反については、Xの休業補償給付請求時には業務起因性を認めながら、後にこれを否定した理由について具体的に主張した上で、A社の対応が一貫していない場合であっても違法ではない旨主張しました。

結果

第1審においては、A社が安全配慮義務に違反したこと並びにXに対して違法な退職勧奨をしたこと及び証明協力義務違反があったことについて、裁判所は全て認めず、A社は損害賠償責任を負わない旨判示されました。
その後、Xが控訴したため、第二審へ移行しましたが、判決は変わらず、A社の損害賠償責任を否定するものでした。
Xは上告しましたが、最高裁判所は本件を上告審として受理しないと決定され、A社の損害賠償責任がないことが確定しました。
過去のXの勤怠状況をはじめ、A社のXに対する対応やを丁寧にヒアリングし、派遣元企業としての派遣社員に対する責任を裁判所に訴えた結果、裁判所にA社の責任がないことが認められ、A社のイメージとしても非常にメリットがあったと思われます。